現在の連歌状況を一冊の本に=万博を契機に出版の方向へ


万博連歌関連出版物について

去る5月27日大阪万博ポップアップステージで連歌張行がありました。当地行橋の今井祇園連歌の会員の参加もありました。主催者側からこの機にこの国で連歌をしている人全てに呼びかけ、現在の連歌状況を一冊の本に纏めようととの提案がありました。

思えば行橋は連歌中興の地であります。室町時代から江戸時代にかけて連歌は大変な流行をみたそうですが明治時代になるとすっかり影を落とし、昭和初期に至ってはなんと廃絶の文芸となってしまったのでした。

ところが行橋今井の地には奉納の連歌として500年間欠かさず続けてきたのでした。そればかりか連歌復興に生涯をささげた今井須佐神社宮司高辻安親の八面六臂の活動があっての今日の連歌界があります。そのようないきさつもあって行橋周辺の連歌座は残らずこの企画に参加したいと思っているところです。幸いにも長年の宿願であった北九州小倉の地にも「八坂神社連歌会」が出来、行橋市の「連歌市民講座」は二座となり、「ひまわり子ども連歌」「今井祇園連歌の会」には50年近く続いている「ひまわり連歌」も加わります。するとこの地方だけで五座の作品が掲載されることになります。どうぞご期待ください。



大人連歌(ひまわり連歌)


日時 : 毎月第2土曜日午前11時より
対象 : 文芸そして人付き合いに興味のある方
 
  50年近くも前のことです。「連歌をしましょう」と行橋市今井須佐神社、通称今井の祗園さんの宮司高辻安親さんからお誘いを受けました。短歌にかかわっていたことがあり、そのとき指導を受けていた池田富蔵先生がその会におられまして、短歌そっちのけで「連歌」にはまってしまいました。
 当初は毎月祗園さんの百段雁木を登って通っていました。そのうち宮司さんから「あんたのところで連歌会をやりなさい」といわれ連歌会を始めたのが1979年3月でした。当時から子どもの本の専門店「ひまわりこども」を開いていましたので「ひまわり連歌会」と名づけ毎回宮司さんがおいでてくださっていました。
当初、本屋の業務が終わった夕方から二階で例会をおこなっていました。終わりは深夜に及ぶこともありました。
 現在は毎月第2土曜日の午前11時から開いており、終わってから食事会(カレーが圧倒的に多い)を催し、懇親につとめています。



連歌作品を紹介します


―初折表―

白梅に雨のやさしき夕べかな東三子
風柔らかく萌え初むる野辺
背山よりはや鶯の鳴きいでてともこ
遠く霞める島なみの見ゆ
小舟行く潮の流れの早かりき君子
案山子の立てる畦道を過ぐ吉治
月出て井戸の屋形の影著く東三子
菊の香りの漂ふ静寂ともこ

―初折裏―

蔵奥に笈なる書は捨て置かれ
紙魚逃げゆくを媼の払ふ君子
友がきと語らふ宿の涼しかり
茜に染まる九重の山勝枝
八重の紐解きて契りし堅き仲吉治
出雲の神よみそなはせ恋東三子
木枯に旅こそよけれ光見ゆ
月冴ざえと道を示しぬともこ
雪深く車を離れ歩きけり
轍に溜まる水跳ね上がる吉治
十一笛の音の丘の上まで響きをり君子
十二陽炎追ふや子らの駆け去る
十三花散りぬ風は吹くとも吹かぬともともこ
十四故郷遠く鳥雲に入る東三子

―名残折表―

高楼にひとの群れたる地震の国吉治
チリ大変と雷騒ぐともこ
猫慌て御簾の蔭こそ逃げ場なれ
升酒干せど虎にはならず東三子
海山の幸を携へて来りけりともこ
炉の辺に寄りて陶を調ふ
華やかに橡の炭の盛りたる東三子
木酢の香れる蔓棚を組む吉治
真蒼なる空の深みに伸びる竿
白き庭椅子ひそと風待つ東三子
十一霧湿る飛び石伝ひ君と行く吉治
十二萩の乱るる恋の道行きともこ
十三月まどか添はむ願ひの叶へかし東三子
十四雲を見るだに亡き母思ふ吉治

―名残折裏―

故郷の丘の畑は広々とともこ
旅にしあれば袖もほつれし
裸身をさらして浴びる水しぶき吉治
深き谷間の童幾人ともこ
谺して重なり響く鳩の笛
霞の彼方何か待ちゐる東三子
水鳥の去りたる池に花筏ともこ
春の雪降る歌詠む庵



子ども連歌


日時 : 毎月第3土曜日午後5時より
対象 : 小学生から

十七音と十四音での人付き合いです。ちょっと付き合ってみませんか。
子ども連歌を始めて10余年です。
 
子どもに限らず現代人は忙しく、せっかく四季に恵まれたこの国にいて木々の芽吹きも目に入らず、鳥の鳴き声に耳を傾けることなく過ごしています。歌を詠むとは即ち自然を身近に感じ、生活の中に感じる喜怒哀楽を述べることだと思います。
子どもたちも楽しく詠んでいます。
子どもクラスはまず墨を摺ることから始めます。筆を手にしたことのない現代っ子もすぐに筆になれます。
十七音と十四音での人付き合いの連歌はその人が感じたこと、思ったことは何でも詠みます。詠んではいけないことは何もありません。前の句に後の人が続けて詠みます。たった一つの約束は前の句を貶めないことです。あくまでも前句を理解し、認めたうえで「自分はそうは思わない、こう思います」というように違いを表しても相手を否定はしません。
ここは遊びの場ですが、学びの場でもあります。参加してみませんか。